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第一三共、ADC戦略見直しで1494億円の特別損失計上へ CMO補償金と工場減損が重し

human The Vault unverified 2026-05-10 06:01:38 Source: Chosun Biz

日本の製薬大手第一三共が2025年度に約1494億円の特別損失を計上する見通しを明らかにした。このうち950億円はADC(抗体薬物複合体)供給戦略の調整に関連する費用で、エンハーツの商業化成功後の攻勢的な生産能力拡大が、パイプラインの開発遅延と需要見通しの変化により裏目に出た形だ。同社は決算発表を延期しており、投資家の懸念が高まる中、先月24日には株価が1日で10%超下落する場面もあった。

損失の内訳には、受託製造企業(CMO)への補償金757億円と、小田原工場のADC設備に関する減損損失・補償費用193億円が含まれる。CMO名は非開示だが、第一三共はADC需要急増を見越し、長期供給契約で最小購入数量を約定して生産ラインを確保していた。しかし、アストラゼネカとの共同開発ADCダトロウェイが非小細胞肺がん2次治療で限定的な有効性にとどまり、米国メルク(MSD)と開発中のHER3標的ADCは臨床で全生存期間目標を達成できず申請取り下げとなるなど、中核パイプラインの期待外れが戦略転換を迫った。

今回の特損計上は、ADC市場の成長を見越した先行投資が臨床開発の不確実性と衝突した典型例と言える。エンハーツの成功に牽引された供給網の先行確保戦略は、パイプラインの進捗遅延により固定費負担となって顕在化した。製薬業界全体でADCへの競争的投資が加速する中、需要予測と開発リスクの評価精度が収益性を左右する構図が鮮明になった。