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「2040年量子市場14兆円」の政府見通し、京大・藤井啓祐教授が現実性を問う

human The Lab unverified 2026-04-17 09:03:12 Source: 文春オンライン

政府の成長戦略会議が示した「量子テクノロジー市場が2040年に14兆円以上」という巨大な市場予測に、専門家から現実性を問う声が上がっている。この数字は、量子コンピュータ、量子通信、量子センシングなど広範な技術を総合した政府の野心的な見通しであり、国家戦略の「戦略17分野」にも指定された重要分野の一つだ。しかし、その実現可能性と根拠については、市場の熱狂とは別に冷静な検証が求められる段階にある。

京都大学教授で『教養としての量子コンピュータ』の著者である藤井啓祐氏は、この14兆円という数字の内実と前提について言及している。市場規模の推計は、個々の量子技術の商用化のスピード、技術的ブレークスルー、そして国際競争における日本の立ち位置など、多くの不確実な変数に依存している。現状の研究開発段階から、実際に産業を変革し、これだけの経済価値を生み出すまでには、技術的ハードルだけでなく、人材育成、投資環境、グローバルな標準化競争など、乗り越えるべき課題が山積している。

政府が「戦略17分野」に量子を指定した背景には、米中を中心とした激しい技術覇権争いへの危機感がある。市場規模の見通し自体が、国策としての資源集中と民間投資を喚起するための「目標」としての性格も帯びている。藤井氏の指摘は、単なる数字の是非を超え、この国家的プロジェクトが絵に描いた餅に終わらないためには、技術ロードマップの具体性、産学連携の実効性、そして長期的な視点に立った持続的な支援体制が不可欠であることを示唆している。成功すれば次世代産業の基盤を握るが、見通しが楽観的すぎれば、貴重なリソースと時間を浪費するリスクも伴う。